栃(とち)の実を混ぜて作る、栃餅。
栃の香りが良く、私は子供の頃からとても好きです。
栃餅は関東や東北で多く作られていて、地域によって配合が様々だそう。
私の実家の栃餅は、かなり濃い!です。
アク抜きを中心とする栃の世話は、実家では祖母が担っており、しげしげと眺める機会がなかなかありません。
この記事は、アク抜き後の栃を使って餅を作る手順を、私に分かる範囲で書き留めたものです。
アク抜きについてはこちら → 栃の実の保存とアク抜きの仕方
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栃餅を作る準備
栃餅の材料
・もち米 適量 (好みの量を用意します。餅つき機の説明書なども参考に)
・栃 適量 (もち米の体積の1/3が目安。ですが、アバウトでもわりと平気そうです。詳しくは記事の最後に)
※あく抜きの液に浸かった栃の実はこんな感じです↓
(割り箸が立っているのは、ホコリよけの新聞が浸からないようにするためで、深い意味はないです)
・餅に付けるもの(もち取り粉、あんこ、きな粉など)
こちらを参考に、好みのものを準備ください。→ 餅に付けるもの~もち取り粉、きな粉、あんこ
栃餅の道具
白餅の道具に加え、栃を洗うためのザル・ボウルが必要です。
こちらを参考にしてください。→ 餅つきに使う道具一覧
前日の下ごしらえ
もち米を1回分ずつ計って洗い、水に浸ける。
(もち米の洗い方、詳しくはこちら→ もち米を洗う様子)
栃の実は、アク抜きの液に漬かったままでOKです。
栃餅の作り方
もち米と栃を蒸す
水に浸けてあったもち米を、ザルに上げて水を切ります。
蒸し始める30分ほど前に上げておきます。
蒸気が上がってから、初回は30分弱、2回目以降は20分ほどで蒸し上がります。(1升5合ほどの場合。少量だともっと短そう)
食べてみて、もち米に芯がなければOKです。
餅つき機でつく
蒸し上がったもち米+栃の実を、餅つき機に投入します。餅つき機まで距離がある場合は、ボウルなどに入れて持ってくると安全に運べます。
スイッチを入れる前に、しゃもじでもち米をほぐしておくと早く混ざります。
水を入れたボウルも、餅つき機の横に準備しておくと良いです。
スイッチを入れると、最初は米がピンピン飛び跳ねたり、栃が転がったりしますが、だんだん混ざっていきます。
転がる栃の実をしゃもじで押しつけてやると、混ざりやすいです。
栃の実の水分とアクで、柔らかい餅に仕上がるので、水を足す必要はないでしょう。
栃の実と機械の加減によっては、栃の実の粒々が残ってしまう場合もあります。
12分以上回して、粒々が残っているけどさっきから様子が変わらない・・って状態になってきたら、あきらめ時です。これで完成、にしちゃいましょう。
食べれば意外と、見た目ほど粒感は気にならないです。
つき上がる前に、作業台にもち取り粉をたっぷりまぶしておきます。
水を使って丸めるだけの場合は、餅を出す皿などを用意し、水で濡らしておきましょう。手を濡らす水も忘れず、ボウルなどに用意を。
つき上がったら、餅つき機から臼部分を外し、
逆さに置くと、餅が自重ではがれ落ちてきます。
臼にべったりくっついてしまったら、その分は手で剥がします。
柔らかくくっつきやすい餅であることが、写真からも感じ取れるでしょうか?
餅を出せたら、埋まっている羽根を掘り出してから、成形に移ります。
栃餅を丸める/のす
水分が多いので非常に柔らかく、そして熱いです。
アツアツの状態で手に絡みつきますので、注意して扱ってください。
丸める場合は、水を付けてちぎり分けるのがおすすめです。
ちぎってから、あんこやきな粉、もち取り粉を付けます。
参考→ 餅の丸め方、塊で分けるコツ、鏡餅のきれいな作り方
ちなみに、鏡餅のようなきれいな丸形には、成形しづらいと思います。(やわらかいので整えにくいです)
のし餅にする場合は、2㎝程度の厚みにすると、食べごたえがあって良い感じです。
柔らかいので、油断すると予想外に薄くなってしまいます。ちょっと厚いかな?ってくらいでちょうど良いです。
栃餅ののしもちを切り分けるポイント
のばした栃餅、固まるのは遅いです。
午前に作ったとしても、できれば翌日まで待った方が切りやすいです。
また、断面が白系の餅よりも粘つきます。包丁にこびりついたら、別の包丁でこそげ落としてました。
切った餅の断面には、もち取り粉を忘れず付けましょう。
栃餅の保管
切り餅やあんこもちは、我が家は冷蔵庫のチルド室に入れています。
カビさせずに保管でき、良い感じです。
参考 → 切り餅・鏡餅の保管と、日持ちの例
栃餅Q&A
栃の分量を数字で詳しく!
実家の勘と経験でやってるやつを、自分なりに数字にしてみた経緯を書きます。
結論としては、
・栃の実の量は、もち米の体積の1/3が目安
・でも、これより少なくても全然OK
です。
実家で今回栃の実を入れていた、黄色のザルや青いボウル。
我が家にあるボウルから、同じくらいの大きさのものを探して満水容量を計ると、約1500mLでした。
これの、すりきりよりは少ない体積を、1升5合のもち米に加えていました。
もち米の体積も計算します。
1合=180mLであることから、もち米の体積は、1升5合=2700mL。
これの3分の1で900mL、2分の1だと1350mL。
ボウルの体積と見比べて、栃の実はどちらかというと1/3が適切で、1/2だと多すぎる感じです。
もち米と栃の実を合わせた様子を見ても、1/3としておくのが妥当な気がします。
手がかりとして、うちの実家の栃餅は、だいぶ濃いです。一方、市販の栃餅の中には、かなり色や風味の薄いものもあります。
ということは、アバウトな分量でも、意外と栃餅らしく出来ちゃうんでないかと。
むしろ、好みの分かれる物なので、薄めの方がベターな気もします。
って事で、何かのはずみで栃の実が手に入ったら、ぜひ気楽に混ぜてみてください・・・!
栃拾いと保管について
自分たちで栃の実を用意する場合は、秋に山へ拾いに行き、乾かして保管します。
栃の実を干すイメージ。
(地元の餅屋さんの店先で撮らせていただきました)
晴れた日を選んで、干しては取り込んでを繰り返し、芯までしっかり乾燥させます。
こうやって乾燥してあれば、栃の実は何年でももつそうです。
2016年の餅つきで使った栃の実は、何年か前(3年だったかな)に拾ってきて保管してあったもの、とのことでした。
栃の実のアク抜きについて
栃の実はえぐみが強く、アク抜き処理をせずに食べることはできません。
実家ではもちつきの1週間前くらいから、祖母が計画的にアク抜きを行っています。
まず、乾かして保管しておいた栃の実を、2~3晩水に浸けてふやかします。
その後、包丁でひとつひとつ皮をむきます。
むけたら、煮込んで苛性ソーダであく抜きをします。
アクの具合を見るために、栃粥を作って食べてみることもあります。
私も昔、栃の実の皮むきを手伝っていましたが、外皮は栗みたいに手ごわいし、栗で言う渋皮もしつこく残ります。
この渋皮は、きれいに剥きまくってしまうと味わいが無くなるので、加減も難しいです。
そんな感じで、楽しくないわけでもないけれど、面倒な作業だった記憶があります。
栃は手間がかかるものであり、それをこうして世話してくれる人がいるのは、ありがたいことだと思います。
栃の実の世話について詳しくは → 栃の実の保存とあく抜きの方法
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